捨てられた町
随分進んだところでカエルがそう聞いて来た。


「まだ大丈夫だよ。昨日はこんなにも歩いたっけ?」


「女の魅力に魅了されて、どこをどのくらい歩いたのかわからなくなるんだ。それに女は会話上手だ。知らない間に洞窟まで辿りついてしまうらしい」


カエルがそう言って僕を見た。


全くその通りだ。


僕も昨日は気が付けば洞窟にたどり着いていた。


「もう少しだから頑張れ」


カエルに励まされ、僕はまた足を前へ進めた。
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