捨てられた町
それから10分ほど歩いた時、不意に目の前が開けた。


木々の中に大きな洞窟が姿を見せる。


昼間だというのに洞窟の中は真っ暗で、中にマヤがいるのかどうかわからない。


「ルキはここにいろ。俺が確認して来る」


「大丈夫なの? 相手は蛇だろ?」


「大丈夫だ。俺はカエルだけど、プラスチックでできている。食べたら腹を壊すことくらい、あの女だってわかってるはずだ」


カエルはそう言うと、ピョンピョン飛び跳ねながら洞窟の中へと入って行ってしまった。


僕は洞窟の前まで移動し、そっと中を確認した。


昨日と同じで洞窟の中からはヒヤリとした冷たい空気が流れ出てきている。


本当にここだけ別世界みたいだ。
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