捨てられた町
目を凝らしても少し先までも確認することができなくて、僕はグッと身を乗り出した。


その時だった。


いつの間にかカエルが蛇をつれて近くまで出て来ていたようで、足音が聞こえて来た。


「あんた。わざわざ私に食べられて来たの?」


白い着物を着たマヤがフフッと不敵な笑みを浮かべて洞窟から出て来た。


その足元にはカエルがいる。


カエルはマヤから離れ、僕の方へ寄って来た。


「そうじゃない。でも……」


僕は次の言葉を探すより先に、マヤへと手を伸ばしていた。
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