捨てられた町
少し離れてその顔を確認してみると、マヤの頬に涙が流れて行くのが見えた。


「いつも……こうして人間の温もりを感じていた」


マヤはそう言い、僕の頬に触れた。


その指先はとても冷たかったけれど、母親のように優しかった。


「もう一度、人間の温もりに触れたかった……」


マヤはそう言うと大粒の涙を一筋流し、蛇の姿に戻って行った。


長くて太い立派な白蛇は僕の足元をウロウロしていたかと思うと、やがて光になって消えて行ったのだった。

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