Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「どうして? あたしのゴハンの心配をしてくれるんだったらぜんぜん平気だよ?
レトルトカレーにカップ麺でしょ、冷凍食品にコンビニのお弁当、あとは隣のヒサおばさん家で――」
指折り例を挙げていくと、ふいに制止するように頭に大きな手が乗っかった。
侑兄はあたしの頭を軽く叩きながら困ったように笑っていた。
「食べ盛りの綾乃を置いて家を出るのは、やっぱ心配」
村瀬家では家事全般は昔から侑兄の役割だった。
ウチのママが家事をしている姿は、あたしはほとんど見たことがない。
たまに洗濯物を干していたり、掃除機をかけていたり、キッチンに立っていたりすると、逆にビックリしてしまって『ママ、どうしたの? 熱でもあるの?』なんて声をかけてしまうほどだ。