Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
そんなわけで昔から家事は侑兄の役割だったから、あたしは掃除・洗濯くらいはかろうじて出来るけど料理はてんでダメ。
たまに侑兄のお手伝いを買って出るものの、
包丁は危ないから持たせてくれないし、
鍋を見ていたら退屈でいつの間にか違うことを始めてしまって真っ黒に焦がしちゃうし、
炒め物や揚げ物をすると必ずどこかしら火傷を負ってしまう。
結局、いつもお皿を並べる係か味見係なんだよね(呆)
そんなあたしを置いていくのが心配だから、侑兄は25歳になっても夢のひとり暮らしが出来ずに実家暮らしなんだろう。
あたし、ダメな妹だね…
侑兄のためにも、もっとしっかりしなきゃ。
自分ひとりで何でも出来るように――。
「――綾乃。もう構想は練った?」
「え?」
「どんな部屋になるか楽しみだな。
希望としてはやっぱり落ち着けるってのが第一条件として、派手なのよりはシンプルなのがいいな。――こういう感じの」
そう言って侑兄はそばにあった2人掛けのソファーに座ってみる。
シンプルモダンで上品な印象のデザイナーズソファーだ。
綾乃もおいで、と手招きされ、あたしは侑兄の隣のスペースに腰を下ろした。