Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「その人に照準を定めたなら最後…」
銃を構えスコープを覗き込む真似をしながら、ある人に照準を定める新婦。
そして…
「暗殺犯のごとく一撃で仕留めちゃいな!」
そう言い放ち、バン!と映画さながらにカッコよく銃をぶっ放す真似をする。
たまたま新郎がこっちを見ていて撃たれた真似をするものだからノリの良さに思わず笑っちゃった。
「今日なんかほら、普段見せない格好してるでしょ? こーゆーときこそチャンスだと思うよ?」
「え?」
「ドレスアップしてて、今日の綾乃めちゃ輝いてるし♪ 帰りに『結婚式帰りなんですぅ〜♪』なんてこのオシャレした格好でお店に寄ってみればいいじゃん?
相手は出勤スタイルの普段着しか見慣れてないんだからギャップにコロっといっちゃう可能性もあるかもね?」
「ギャップにコロっ!?」
「綾乃はそういう計算、いっさい使わないんだから。世の中の女なんか連立方程式もロクに出来ないくせに男を落とす計算だけはハナマル級の強者ばかりよ? 綾乃も浪花の商人じゃないんだから売り上げ計算ばっかやってないで少しは自分の幸せのために頭を使いなさいよね」
ぴしゃりと言われてあたしは“反省ザル”のように項垂れる。
「…はぃ。そういたします…」
「よしっ! 綾乃がロックオンした人と結婚するときはアタシ仲人だからねっ!!」
「な、仲人!?」
「そっ♪ 当然じゃない? だってアタシ、2人のキューピッドだしっ♪」
――…2人の…キューピッド。