Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



「…ぅわぁ…どうしよう。二重の喜びっていうか……あたし精一杯がんばります!」



頬を染めて嬉しそうに手のなかのものを眺める。



村瀬さんの手のなかにあるのはビーズで出来たクマの携帯ストラップ。



販促品の余ったものだ。



スタッフのみんなから別名“四次元ポケット”と呼ばれる俺のエプロンのポケットはありとあらゆるモノがパンパンに詰まっている。



ペンとかハサミとかカッターナイフとか文房具系がだいたい多いんだけど、その使い古しの中に1つだけ紛れていたのがこの未開封の販促品の携帯ストラップだ。



何となく口もとが村瀬さんに似ていて、彼女へのプレゼントにピッタリだなって思った。



「急場しのぎでこんなモノしか用意できないけど(苦笑)」



「そんな……今日初めて会った方にこんな……ありがとうございます。嬉しいです。大切にします」



ふるふると首を振ると嬉しそうに手のなかのものを眺める村瀬さん。



「…可愛い(*^ω^*)」



取るに足らないモノなのに心底喜んでくれている。



彼女の笑顔を見ていると、こっちまであたたかい気持ちになる。







いつか…





いつか俺は…





君の笑顔に救われる日が来るのかな――?










「――誕生日おめでとう。村瀬さん。








あさってからよろしく―――…」










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