Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「――で、福嶋。お前が副店長」
驚愕しているあたしをよそに、
西崎さんが冷静に福嶋くんにそう告げた。
「はあ…そうっすか」
「オレと一緒♪ オレと♪」
柏田さんが立てた親指を自分に向けて
同じ役職ということを楽しそうにアピールしている。
「あー…ならラクそうっすね。そういうことなら頑張りまーす」
わりとあっさり受け止めて、悠々と組んだ脚の上でファイルをめくる福嶋くん。
あたしはそんな福嶋くんを、物珍しいモノを見るような目で凝視した。
福嶋くんってば何でそんなに冷静なの?
副店長って大役、荷が重くないの――?
そりゃああたしの店長に比べたら荷の重さなんて格段に軽いだろうけどっ。
それでもプレッシャーとか、不安とか、
そういうのまったく感じないわけ?
お店を1つ任されるんだよ?
売上を伸ばすも落とすも、お店を繁盛させるも潰すもあたしたち次第になるんだよ?
そんな責任重大なポジション、
あたしたちには絶対無理に決まってるよ――!!
ひとりでご乱心状態のあたしに、福嶋くんがちらっと目を向ける。
瞳の奥に意地悪な色をたたえて、可愛く小首を傾げてみせた。
「頑張ろうな? 村・瀬・店・長♪」