Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
あたしはお店に着くまでの間、
後生大事に西崎さんからもらったショッピング袋を抱えていた。
西崎さんはあたしを皆見店で落とすと、そのまま流川店に戻っていった。
「ただいま〜♪」
「あ、店長。お帰りなさ〜い」
「お帰りなさ〜い」
「ただいま♪ 何か変わったことなかった?」
「いえ、特には♪」
「そう。じゃああたし着替えてくるね♪」
レジカウンターに立っていた三沢さんと川本くんに声をかけて
上機嫌でいそいそと事務所に向かう。
自分のデスクに着いて
事務所に誰も入ってこないことを何度も確かめた。
だって…今のあたし、顔が緩みまくってる。
こんな顔、社員の誰にも見せられないよ。
さっきもかなり危なかった。
平静を装おうと努めても
気づくと表情に締まりがなくなっていて。
あーほんと今日福嶋くんが休みでよかったよ。
いま事務所には幸いあたし1人。
どれだけにやけても見られる人はいない。
ふぅ…と胸に手を当てて深呼吸をひとつした。
それでもドキドキはおさまらない。
だって好きな人からもらったプレゼントだもんね。
嬉しくて仕方ないよ。
あたしはそっと壊れ物を扱うようにショッピング袋からTシャツを取り出す。
わぁ…黒だ〜
あたし、黒のイメージがあるのかな?
図柄はどんなのだろう?
そう思って目の前に広げた瞬間だった。
あたしの全身が、ピシッと凍りついた。
・・・ナニコレ?