Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

「…誰か来るといけないから」



そう言って福嶋くんにスタッフジャンパーを渡す。



この“誰か”というのは本社のお偉いさんのこと。



たまに抜き打ちで視察に来たりするから気が抜けない。



「昨日、店長会議だし。今日は来ねぇよ」



「でも…」



「ダッセーんだよな、この蛍光黄緑のスタジャン」



「そう思うならそんな格好で来ないでよ」



「しょうがねぇじゃん。寝坊したんだから」



「…(ーεー)」



「…はぁ分かったよ、着ればいいんだろ着れば」



引き下がらないあたしに逆切れしながら福嶋くんは渋々スタッフジャンパーを羽織った。



「ちゃんと前も締めてよね。ボタン」



「ふぁいふぁい…」



あくびをかみ殺しながら煩わしげにシャツのボタンを留める。



「…っとお前は口うるせーよな。典型的な世話女房タイプって感じ」



欝陶しげに吐き捨てると福嶋くんは机に向かった。





何よ…(ーεー)



あたしを口うるさくさせてるのって福嶋くんだけじゃない。



外でタバコ吸ったら平気で吸い殻ポイ捨てしてくるし!



使ったものはいつも片さないでやりっぱなだし!



冷蔵庫のドアは開けっ放しで飲み物飲むし!



トイレ行ったら電気は点けっぱだし!



福嶋くんみたいな“っぱ人間”相手してたら誰だって口うるさくなるに決まってるよ!







ほんっっっとムカつく!!!





< 278 / 501 >

この作品をシェア

pagetop