Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
あたしからミネラルウォーターを受け取ると、福嶋くんはゴクゴクと喉を鳴らして一気に飲み干した。
「ゴミ」
ずいっと空のペットボトルを押し付けられる。
「はあ? 何であたしが?」
文句を言いながらも捨てに行くあたし。
あたしって偉いな。
それとも部下思い?
「はー…」
自分の席に着いて煎れたてのコーヒーを一口飲んだ。
それにしても。
部下の召し使いになる上司ってどーなの。
ただのダメ上司ってことじゃない?
コーヒーだってあれだよね?
ほんとは部下から煎れてもらえるものなんじゃないの?
『店長、コーヒーが入りましたよ♪』
『ああ悪いね、〇〇くん。
君が煎れたコーヒーはいつも美味しいよ、フッ…』←ダンディな上司目線
ってな感じで。
なのにあたしなんか店長就任2ヶ月でほとんど小間使い状態。
まぁ上司のあたしを完全に小間使いにしてるのは、他ならぬこの人だけなんだけど。
ジッと睨むと視線に気づいて目をあげる福嶋くん。
「…何だよ?」
鋭い目つきであたしを射抜きながら不機嫌そうに眉をしかめた。