Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

村瀬は専門学校の卒業旅行で友人とイタリアに行っていた。



そのとき家具の買い付けのため日程が偶然一緒だった在原さんと、初日に食事をした際にベルナルドと会ったんだそうだ。



その後の日程はベルナルドがイタリア観光を買って出てくれて、とても思い出深い卒業旅行になったと言っていた。



ベルナルドとはそれ以来約3年ぶりに会うらしい。





「Buona sera!」



はたとベルナルドと目が合った俺は何か話しかけられた。



ボナセーラ…?



困惑していると『こんばんはです』と宮下が教えてくれた。



こんばんは?



まだ明るいから『こんにちは』じゃねーの?



と聞くとイタリアではまだ明るい夕方からでも『こんばんは』と言うんだそうだ。



そうなのか…



「ボ…ボナセーラ」



俺が挨拶を返すと、ベルナルドは宮下に何かしゃべりかけて訊いている。



どうせ俺のことだろう。



宮下のヤツ、どうせろくなこと言わないだろうな。



思いっきり睨みをきかせていると、いきなりベルナルドがオーバーに驚いた。



な、何だ?



「Piacere!」



ぴ、ぴあちぇーれ?



意味の通じないイタリア語に困惑していると、村瀬がそっと教えてくれた。



「はじめましてって言ってるんだよ? Piacere mio って言ってみて」



「ピ、ピアチェーレ …ミオ」



村瀬の言うとおりに言うと、ベルナルドはさらにハイテンションでペラペラと話しかけてきた。





だから俺はにわか仕込みでさっぱりイタリア語わかんねーんだってば!





< 292 / 501 >

この作品をシェア

pagetop