Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

「私ね、彼に出会うまでは出張ホストの彼の先輩と、会うたびにただ体を重ねていただけなの」



ユリカさんは力なく笑う。



「…寂しかった。ただ寂しくて、誰でもいい…誰かにそばに居てほしくて。

…偽りでもいい、彼の先輩に抱かれている間だけは私は必要とされている。愛されている。そう思っていたの」



「…ユリカさん」



「…恥ずかしいけど、私はそうすることで満たされていたの。

一瞬でも孤独を感じることを忘れて、彼の先輩の温もりは他の誰でもない私が求められた証なんだって思いたかったの」



「…」



あたしは言葉がなかった。



ユリカさんがこうまで追い詰められたのは、ユリカさんのご両親がユリカさんに意に添った結婚をさせてあげなかったせい…



そして、たとえ意に添わなかった結婚だとしても、ユリカさんとちゃんと向き合って、ユリカさんの人となりをきちんと見た上で、二重生活に何らかの踏ん切りをつけようともしなかったユリカさんの旦那さんのせい…



ユリカさんは意思を持たない人形じゃないのに、ユリカさんの周囲にいる人たちは、まるでユリカさんのことを人形か何かだとでも思っているような扱い。



ユリカさんが心のなかで悲鳴をあげているのに誰も…両親すら気づかなかったなんて悲しすぎる――…





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