Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

「…村瀬さん?」



「え…あ……ごめ…ごめんなさい」



あたしは知らないうちに頬を伝っていた涙に気づいて、慌てて指で拭った。



ユリカさんがそっとバッグから出したハンカチを差し出してくれる。



「どうぞ」



「あの…お構いなく。汚れますし」



「いいの。遠慮なく使って? …どうやら綺麗な涙を拭うのが、このハンカチの使命みたいだから」



ユリカさんは意味深に微笑んで、白のレースのハンカチをあたしの目元にそっと押し当てた。





「…あの日、彼にもこんな風に泣かれたわ」



「え…」



「私、男の人があんな風に純粋に涙を流すの、初めて見たの」





男の人が…



純粋に…



涙を流す――…?







「…私のために泣いてくれたのは、あなたと、…彼だけよ――?」










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