Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「私、離婚することに決めたの」
ユリカさんは涙を拭ってしっかりと福嶋くんの目を見つめる。
「離婚して外の世界に足を踏み出してみる。
…この歳で、見つかるかどうか分からないけど仕事も見つけて、今まで見つけられなかった生き甲斐を探してみる。
親に決められた結婚だから離婚は一筋縄にはいかないかもしれないけど、それでもめげずに両親を説得してみる」
ユリカさんは晴れやかな表情で言った。
「ちょっと遅い反抗期ね。…ちょっとどころじゃないかしら?」
ふふっとユリカさんは肩をすくめていたずらっぽく笑うと、ピッと車のロックを外す。
「…夫の稼ぎで買ったこの車に乗るのも今日が最後だわ」
ユリカさんは今日から6畳一間の1Rマンションに移り住むんだそうだ。
旦那さんの稼ぎで買ったという高級車の中にはユリカさんの引越しの荷物であふれていた。
小さいけれど私が初めて手にした自由の城。
ユリカさんは嬉しそうに笑ってそう言った。
そしてユリカさんは左手薬指で意味もなく輝いていたプラチナの結婚指輪を外す。
「マジで超むかつくわ」
えっ……ユ…ユリカさん?
こ、言葉遣いが??
「ふふっ…一度使ってみたかったの。若者言葉。」
な、なんだビックリした…