Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
ガタンっ…
勢いよく椅子を蹴って席を立ち、向かいの席のミカのそばまでやって来たけれど…
あれ?
そこではじめてミカが電話中だったことに気づく。
彼氏から電話かな…?
ミカの彼氏――同じバンド仲間のヒロくん。
束縛が激しいらしいんだよね。
それで学校にいるのにもかかわらず心配でこうしてたまに電話がかかってきちゃう。
「…あ、はい。あさっての夕方4時半ですね」
さらさらと求人誌にメモをとるミカ。
なんか他人行儀な話し方。
ヒロくんじゃないのかな?
「あ…はいっ、よろしくお願いしまーす。失礼しまーす♪」
ばんっ…
「綾乃っ…わっ「ミカー―――っ…ありがとうっ」
電話を終えてミカが携帯をテーブルに叩きつけたと同時に、あたしはミカに抱きついた。
「ぅん? ああ、別に。どういたしまして」
あたしの背中をナデナデしながら言うミカ。
「あさっての夕方4時半に来てって言われたからさ、忘れずに行ってね?」
「あさっての夕方4時半? …って?」
あたしはキョトンとしてミカから離れる。
「面接だけど? 代わりに電話しといたから、それで『ありがとう』じゃないわけ?」
面接っ?
え、どういうこと?
ヒロくんからの電話じゃないことは他人行儀な話し方からわかったけど。
代わりに電話しといた?
あさっての夕方4時半??
「ええ――っ!?」