Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「――悪いね。氷がないからホットしか作れないけど」
出来立ての熱いコーヒーを手渡される。
「すみません。いただきます」
カップを受け取って一口飲み、テーブルの隅っこに置いた。
小早川さんは向かいのソファを片付けてそこに腰を下ろす。
あたしは何だか落ち着かなくてそわそわしていた。
だってこんなに汚れている場所だもん、あたしの大嫌いなゴキブリとか棲息していそうで…
「…幻滅した?」
すこし横柄な感じでソファに深くもたれると、シュボッとジッポでタバコに火をつける小早川さん。
タバコを吸う姿も様になっているというか、見惚れてしまうほどの大人の色気が漂っていて、あたしの心臓はいやでもうるさく音を立ててしまう。
「あ…あの、本当にこんなところでお仕事なさってるんですか?」
「こんなところ?」
「あっ、す…すみません///」
「いや別に謝ることないよ。たしかに…“こんな汚いところ”じゃ創作意欲も掻き立てられないよな?」
ククッと苦笑いする小早川さん。