Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



「…君を一目見たとき、昔ここで一緒に仕事をしていたパートナーのことを思い出したんだ」



「え…」



「男の俺のほうが女性的な作品が多くて、女である彼女のほうが男性的な作品を創り出すことが多かった。

見た目は君みたいに華奢で小柄でものすごく女の子らしかったけど、生み出す作品はどれも荒々しくて力強くて、とにかく自信がみなぎっていて圧巻だった。

俺たちは真逆の感性の持ち主だったけど、衝突したりすることはなく、互いに尊敬し合い、刺激し合い、そして高め合って自分たちの満足のいく作品を生み出してきた」



ふと物思いに耽るように室内を見渡す小早川さん。



「…ここに来ると、彼女と仕事をしていた頃のことを思い出すんだ」



「え…」



「…よく叱られたよ。『まーたこんなに散らかして』って。…それが彼女の口癖だった」



小早川さんはふっと口元をゆるめる。



きっとここの事務所の片付けはその彼女の役目だったんだろうな。



心なしか嬉しそうな小早川さん…



その女性のこと、好きだったんだろうなぁ…





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