Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「――…西…崎……さん…」
「ん?」
ふいに名前を呼ばれて聞き返すけど、村瀬は固く目を閉じたまま。
…ブブッ…何だよ?
寝言って気ィ失っても言うもの?
…面白いヤツ(笑)
「…よっこらしょっ…と」
ここでじっと村瀬の顔を見てても仕方ないし、まぁ見てても飽きないんだけど、目が覚めたときに不審に思われると困るからとりあえずコーヒーでも淹れるかな。
脱水気味か喉がカラカラだし。
すこし水分補給しないと。
(本当ならスポーツドリンクがいいんだろうけど急にそんなもんないからな)
それにしてもホント最近オッサン化してんな俺。
台詞が末期だし…;
軽くへこみながらキッチンへ向かおうとすると、村瀬がまた寝言を言った。
「――――…」
「……え?」
一瞬、棒を飲んだようにその場に立ち尽くす。
いま……?
そっと村瀬を振り返ってみる。
「……村瀬」
いま……
………なんで?
…何でお前が…?
眠ったままの村瀬の目尻から透明な涙がすーっとこぼれ落ちる。
何で村瀬が…
『――まだ……優花さんのこと………好きですか――…?』
――――…優花を、知っているんだ?
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