Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

優花は猛勉強の末、建築学科のある大学を受験し、見事に合格した。



『慧吾、優花ちゃん見送らんでいいの？』



高校卒業と同時に長年住んだ家を離れ、大学のそばに借りたアパートに引っ越す優花。



その出発日、俺は優花がいなくなる寂しさから部屋に閉じこもり、優花の晴れの門出を明るく見送ってやることができなかった。



『ほんとにごめんねぇ。慧吾、お腹が痛いって布団引っ被ったまま出てこんのよ〜』



ばあちゃんが玄関先で、
わざわざ自分のほうから挨拶しにきた優花に申し訳なさそうに説明していた。



『いえ…それじゃあ慧ちゃんによろしく言っておいてください。身体お大事にって。お盆とお正月にはなるべく帰ってきますので、またそのときにいっぱい話そうねって』



優花はおじさんの軽トラに乗って駅に向かっていった。



俺はそれを、車が見えなくなるまで２階の窓から眺めていた。