Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
はぁ…
あたし何しに来たんだろう。
西崎さんを心配するあまり慌てて飛んで来ちゃったから1つもお見舞いのものを持って来なかったし…
ちょっと考えれば分かるのに、手ぶらで来るとかホントありえない。
どうしてこうあたしって抜けてるんだろう…
気の利いた女の子じゃないんだろう。
こんなんだから誰にも好意を持たれてないんだよね。
男の人から見て魅力的だと思われてないんだよね…
つくづく自分の性質に嫌気がさす…
「どうした? 顔暗いぞ」
「え?」
西崎さんが淹れ立てのコーヒーをリビングに運んできて、ソファーに腰かけていたあたしの隣に座った。
そして…
「ひょっとして俺の風邪がうつった?」
何気なく西崎さんの大きな手が伸びてきて、そっとあたしの額に触れる。
「ん…熱は俺のほうがあるな」
もう一方の手で自分の熱を測ると、西崎さんの手は呆気なく離れていった。