Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



西崎さんが風水とか実践してるなんて意外。



そういう非科学的なものって信じない人だと思ってた。



「建築とかインテリアの世界って結構風水に基づいてるだろ?」



「…そういえば」



「特に一軒家を建てるときなんかはそういうのを信じない人でさえ神経質になる。

まあ一生に一度のデカイ買い物だからきちんとしたいってのもあるだろうけど。

きちんとしたからって必ずしもみんながみんな幸せになれるわけじゃない。

結局はそういうのに縋りついて、何かあった時にそれのおかげでうまくいったとか、それをしなかったせいでダメになったとか、人間が、どこか自分の弱さをぶつけるもの、責任転嫁したいものがほしいだけなんだ」



西崎さんはふいに部屋の隅にあった観葉植物に目をやる。



「あの木、何の木か分かる?」



子供の背丈ほどの、見た目南国っぽい観葉植物。



大きくて艶やかなグリーンの葉っぱの中央には薄い黄色のストライプ。



「…幸福の木ですか?」



「そう」



ドラセナ・マッサンゲアナという品種で、別名“幸福の木”。



ハワイでは家の前に置くと幸せになれるという言い伝えがあるらしい。





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