Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
―――…
「…はぁ…ったく」
店員が止めに入らなかったら危なく焼肉屋で乱闘騒ぎを起こすとこだった。
どうしてこう俺らっていつも低レベルな言い争いばかりしてしまうんだろう。
相性最悪なのか? 俺らって…
「待ってよ福嶋く―――ひゃっ…!?」
「! …危ないっ」
――ベシャッ…
店を出たところで村瀬が派手に転んだ。
「あーもー何やってんだよ、お前は」
ホント鈍臭い奴だな。
4、5メートルほど先に行っていた俺は、戻って村瀬の腕を引っ張りあげる。
…が、村瀬はなかなか起き上がらない。
「村瀬? 大丈夫か? どっか痛むのか?」
俺の問いかけに村瀬はアスファルトに顔を突っ伏したままふるふると頭を振る。
「…なら早く立て。目立ってんぞ、お前」
店に入っていく客と店から出てきた客が、何事かというふうに好奇の目で俺たちをジロジロ眺めていった。
それでも村瀬は意地でも起き上がらない。
…まさか。
「ひょっとしてお前……
ちょうど転んだところに犬のウ●コとか…」
お、小刻みに肩が震えだした…?
もしかして笑ってる…?
そう思ったのもつかの間、振り絞るように鳴咽が洩れだした。
「……村瀬」