Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「あ、あれ、ウチの店だよね? あの四角い建物! ね、福嶋くん!」
さっきまでの暗い態度とは打って変わって子供みたいにはしゃぎ出す村瀬。
「わぁ♪ だんだん小さくなってくー♪」
その手のひらを返したような変わりように俺は堪えきれずに噴き出した。
「…何で笑うのー…(ーεー)」
「いや…ゲンキンだなって」
さっきまでは西崎さんと斉木の関係をあれこれ疑って、すっかりしょげ返っていたくせに。
たかだか観覧車に乗ったくらいで元気になるとか。
「…ホント子供だな。転んだくらいでビービー泣くし」
「あ、あれはっ…(〃゚_゚〃)」
焼肉屋を出たところで派手に転んだ村瀬。
子供みたいに泣きじゃくってなかなか起き上がろうとしなかった理由は、
突然自分のなかでわき上がってきた劣等感によるものだった。
自分なんか斉木みたいにスタイルもよくなければ美人でもない。
気も利かないし料理が下手でお粥も作ってあげられない。
そんな自分が情けなくて悔しくて、
あのとき転んだ拍子にその感情が一気に爆発したんだそうだ。