Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「じゃあまた明日な」
「うん。今日はいろいろありが――」
〜♪〜♪
駐車場に戻ってきてそれぞれ自分の車に乗り込もうとしていたときだった。
2人の会話を割くようにあたしの携帯が鳴り始めた。
…この曲…
他の人とすぐ見分けがつくように、と大好きなアーティストの曲を設定していた。
この曲が鳴るのは世界でたった1人だけ――
「ちょっ…ちょっとごめんね?」
「あーいいよ」
福嶋くんに断りを入れてから慌てて携帯を耳にあてた。
「も、もしもし…?」
『あ、村瀬?』
きゃああああ…
「あ、あ、あの、おおお疲れ様です」
つい数時間前に会ったばかりの大好きな人の声を聞いた途端、胸にどっぱ〜んと激しい高波が押し寄せてきた。
ぅわあああ…どどどどうしよう…西崎さんだぁ…
緊張するぅ…
…ななな何の用だろう?
やっぱり斉木さんとの事だよね?
どうしよう…2人は実際に隠れてお付き合いしていて、その現場を押さえたあたしに口止めとか頼むのかなぁ??
ドクドクと心拍数が上昇していくなか
自分の車にもたれてあたしの様子をうかがっていた福嶋くんと目が合った。
『西崎さん?』って口パクで聞かれて黙ってうなずく。