Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
ソファの背もたれに片肘をつき、その手で頭を支えながら組んだ脚の上に広げた分厚いファイルに目を落としている男の人。
鼻筋の通ったうつむき顔は凛としていて、落ち着いた大人の雰囲気がそこはかとなくにじみ出ている。
「店長」
傍らに立つ従業員の女のコが声をかけると、呼ばれた男の人はソファに片肘をついた手で頭を支えたまま目線だけをあげた。
その一連の動作だけでもその人からゾクッとするほどの大人の色気を感じてしまったのに。
さらに澄んだキレイな瞳と視線が絡んで、ふだん男の人の目を直視しないあたしなのに、まるで心臓が止まってしまったかのように彼の瞳に釘づけになった。
「ああ、面接のコ?」
彼が慌てて姿勢を正したことで、あたしも本来の目的を思い出す。
ガバっと勢いよく頭を下げた。
「む、村瀬綾乃ですっ! よ、よろしくお願いします!!」