Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
呼び出し音が鳴る。
2回、3回、4回、――プツッ…
「あ、もしもし、村瀬?」
『……』
「?」
あれ? 応答がない。切れたか?
「もしもし?」
『……』
電話の向こうからはかすかに物音はするが村瀬の声が聞こえない。
…何だ? 電波状況が悪いのか?
「もしもし村瀬?」
怪訝そうな顔をしている菜月を見ながらもう一度たずねると…
『……………はい』
え、男の声…?
何で男が村瀬の電話に出るんだ?
ひょっとして番号間違えたのか?
「これ村瀬さんの携帯じゃないんですか?」
『そうですが…』
やっぱり村瀬の携帯で間違いない。
…ってあれ?
今の声って…
「………福嶋?」
『はい』
「やっぱり…何でおまえが村瀬の携帯に出るんだ? 村瀬は? 何かあったのか?」
『別に何もありませんよ』
やけに淡々と返してくる福嶋。
「何もないって、じゃあ何で……店で何かトラブったのか?」
『いえ、いま自分ちですけど』
自分の家?
「福嶋の家? そこに村瀬もいるのか?」
『いますよ』
――村瀬が、福嶋の部屋にいる…?
何でだ?
もうすぐ23時半だぞ、こんな時間に何で村瀬は福嶋の部屋に…