Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
村瀬は……大切な部下で…
それ以上の感情は……あるはずがないのに…
なのに何で…
何で村瀬が福嶋に傷つけられると思うと、こんなギスギスした感情がわき起こるんだろう。
『…西崎さん? 何黙ってんすか? もしかして俺、核心つきました?』
「……」
『…もしもーし?』
「………福嶋」
『ぅわ、声怖っ。なに怒ってんすか?』
「うるさい。黙れ」
福嶋の言葉がいちいちカンに障る。
普段こんないい加減な物言いする奴じゃなかったはずなのに、今日はどうしてだか妙に突っかかってくる福嶋に対して冷静ではいられない。
こんな自分が表に出て来るのは、あの人――
小早川一弥と対峙したとき以来だ――…
「福嶋よく聞け」
村瀬に対する感情がただ部下を思ってのことなのか、それとは別のものなのか、今はまだはっきりしない。
だけど…
福嶋がいい加減な気持ちで村瀬を弄ぶのなら、福嶋とだけは村瀬は幸せになってほしくない。
村瀬はとても心のきれいな子だから、たくさんの人に愛されて育った子だから。
だから…
「福嶋、おまえだけには村瀬を渡したくない。
――…今後いっさい村瀬には手を出すな」