Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



――ザアアアアア…



欝陶しい梅雨の時期。



下校途中、傘が受ける大粒の雨音をうるさいと思いながら駅までの道のりを歩いていた。



ふと、ある狭い路地の前を通りがかったときだった。



かすかに悲鳴が聞こえた。



下手すると激しい雨音に掻き消されそうなほど小さな小さな悲鳴。



足を止めて路地を覗くと、そこには花柄の傘が持ち手が天を向いたまま転がっていて…



その向こうには…



細身の男に両手を壁に抑えつけられた蓮実ユリカの姿――



『!?』



泥まみれの制服はブラウスの前がはだけ、肌があらわになっている。



それを見た瞬間、カッと頭に血がのぼった。



『てめ…何やってんだよ!!』



考えるより早く俺はその男に突進していって思いきり顔を殴りつけた。



バキッと骨か歯が砕けたような音がして、勢いよく吹き飛んだ男がぬかるみの中に顔を突っ込んだ。



『福嶋くん!』



怯えた顔をしてはだけた胸元を手で押さえているユリカ。



それを見て怒りが頂点に達した俺は、吹き飛んだ男に馬乗りになってさらに容赦なく殴りつける。



男は必死で抵抗するけど喧嘩慣れしてないのかてんで相手にならない。



鈍い音が狭い路地に何度も何度も響いた。



ユリカが止めに入るまで――…







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