Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
綾乃≫≫≫温かい手
綾乃≫≫≫温かい手
『――…愛してる』
だ…れ…?
何度も何度も…
誰かが耳元でささやいている。
『――…愛してる』
…誰?
…誰なの?
あたし誰かに愛されてるの…?
あたしなんかを愛してくれる人がいるの…?
ひょっとして…………西崎…さん…?
ふいに温かい手が頬を優しく包み込んだ。
違う…
…この手は西崎さんのじゃない。
『…大丈夫』
福嶋くん…の声…?
『…きっと何かの間違いだから』
子供をあやすように何度も何度も言い聞かせる。
『大丈夫だから。西崎さんはそんな人間じゃないから』
…ああ、この言葉。
さっき福嶋くんが言ってくれた言葉だ。
『大丈夫』
…そう何度も何度も。
あたしが泣き止むまで言ってくれた。
『大丈夫。
そんなの絶対嘘に決まってるから。
西崎さんに限ってそんなことするはずないから。
だからあまり深く考えるな――』
――そうだよね…
西崎さんに限ってそんなことするはずがないよね。
西崎さんに限って…
きっと…
小早川さんの言ったことは何かの間違いだよね――…?