Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
この人の場合は自業自得だけど
この人と同レベルにされるのは正直嫌だけど
でもこの人もあたし同様、同じ理由で不採用になるんだろうなぁと思ったら
急にこの人に対して親近感が湧いてきた。
だから、だったのかな…?
気がつくと面接を受けに店内に入ろうとしていた金髪の男のコの背中に、思わず声をかけて呼び止めてしまっていた。
「あの」
彼がきょとんとあたしを振り返った。
「? …なに?」
もしかして逆ナンだと思われないか、変に勘違いされないか、ちょっとドキドキしたけど――
でもきっと…
――もう二度と会うこともないだろうから。
そう思って…
まるきり面識のない人だったけど、
あたしはなぜか…
素直にこう口にしていた――
「頑張ってね。…面接」
彼は一瞬目を見開く。
ただぶつかっただけのあたしにこんなことを言われてちょっと驚いた感じだったけど。
すぐに人懐っこく笑って、
「ああ。――じゃ」
と、手をあげて軽快な足どりで店内へと入っていった。
見かけによらず意外と優しそうに笑う人だと思った。
――これがあたしと…
4年後、同じお店を任されることになる
福嶋くんとの、最初の出会いだった。
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