Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「――で、どんなヤツ?」
興味なさげに訊いてくる。
「どんな…ってさっき面接終わった中にいた…」
「はっ…まさかパツキンの兄ちゃん!?」
柏田が目を剥く。
「その、まさか…」
「…正気か?」
柏田が複雑そうな表情を浮かべる。
柏田がこういう反応をするのは当然だろう。
採用を決めた男が一癖ありげな風貌だっただけに。
「顔どんなだったっけ? ごめんオレ、綾乃ちゃんに夢中で金髪と野郎だった以外の記憶が頭の片隅にも残ってないわ」
えっと…、と柏田は俺のファイルを開き、今日面接をしたコたちの履歴書を取り出す。
「履歴書ならないよ」
「…え?」
柏田が履歴書を探す手を止めて顔をあげる。
「なんで?」
「髪の色変えて写真貼り替えてこいって言ってあるから。
次回バイトに来るときに持ってくるんじゃないかな。
さすがにあの成りの写真貼った履歴書を本社に送るわけにはいかないからな」
「…まあ頭の固い連中もいるしな」
採用を決めた男の履歴書がないと分かって柏田はファイルを閉じる。