Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
――キキッ…
お店の入口の前にシルバーの高級車が停まった。
身なりといい持っている車といい何から何まで初対面だけど信用に値する代物ばかり。
もはやあたしには、出会ったばかりのおじさんに対して何の不信感も警戒心もなかった。
おじさんは酷い雨のなか、わざわざ降りてきて助手席のドアを開けてくれた。
高いスーツがびしょ濡れになっている。
何だか申し訳なくてその場で謝ると、『たいしたことないから』とおじさんは半ば急かすようにあたしに助手席に乗ることを促した。
「でも…」
心から申し訳ない気持ちでいっぱいのあたしは、せめておじさんのスーツを拭いてあげようとバッグからハンカチを取り出す。
おじさんのスーツの肩へと手を伸ばした。
すると、その手をぐっと引っ張られるように掴まれた。
「――――!?」