Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「――よし。これで隠れるわね」
マイさんという見た目ギャル系の女の子が、あたしの腰回りを見て満足げに微笑んだ。
あたしより20センチほど背の高い女の子。
メッシュの入った茶髪は胸まであるロングの巻き髪。
耳には大きなピアスがぶら下がっていて、顔は勝ち気そうなアイメイクが印象的。
近寄られるときつい香水の匂いが鼻について酔いそうになる。
マイさんは福嶋くんの面接に付いてきたっぽくて、あたしと福嶋くんの仲を変なふうに勘繰っていたらしい。
あのあと…
『マイ、車ん中に俺のジャケットあっただろ? あれ持ってきて』
『はあ? 何なのよ』
マイさんは文句を言いながらも車の中にあった福嶋くんのジャケットを持ってきた。
そして福嶋くんから経緯を聞くと、手の平を返したように優しく接してくれるようになったんだ。
そして服が泥だらけになったあたしに、福嶋くんのジャケットを羽織らせてくれた。
あたしは返す宛がないから『いらない』って頑なに断ったんだけど、福嶋くんが『どうせ安物だから。ウチに帰ったら捨てて構わない』そう言って聞かないものだから、結局押しに負けて借りることにしたんだ。
福嶋くんのジャケットのサイズはあたしにはかなりぶかぶかで、裾が太ももまで隠れてしまう。
だから泥だらけの服を隠すにはちょうどよかった。