マリッジブルーの恋人たち
 反対側の隣に座っていた伊久斗が注意しても、いつもこんな感じだ。
 
「ひなちゃん可愛いもんなぁ~!!」
「うん、営業にしとくのもったいない。本当。」

 入社した頃から2歳年下の彼女に対して、前に座る男性3人は七瀬を甘やかし、援護し、俺と彼女をくっつけようとする。

 七瀬は、自分が男性に可愛がられることを知っている強かな女で、俺は、何回アピールされても気持ちが揺らぐことはないし、何より玲奈のことを何も知らないのに、地味、地味言う所が大嫌いだった。

 会社の人間は知らないが、玲奈は地味な訳じゃない。

 俺がそうさせてるのだ。
 
 俺、玲奈、静華の3人が通う高校では、最後の年の文化祭で三年生のみが出場するミスコンがある。そこで、静華が玲奈を可愛く変身させ、クールビューティーな彼女を差し置いて優勝したのが玲奈だった。

 俺は、高校時代は容姿こそ派手だが、恋愛は無縁で部活に明け暮れる毎日だったため、女には興味なかったが、優勝した玲奈に一目惚れし、アタックしまくって恋人になった。

 普段から飾りっ毛のない玲奈が着飾ると、可愛くなることに気がついた周りが、アピールを始めた。

 

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