マリッジブルーの恋人たち
「…………弁当は?」

 やっと出てきた言葉は、昨日の事ではなく、自分の昼御飯の心配だった。

 玲奈がはぁっ!?て呆れた顔をしているのに気がつき、昴はしまったと思ったが、この場で謝ることは出来なかった。

「作ってないけど。」

 ブスッとした態度を露にして答える玲奈に、少しムッとした昴は、ため息をついた。

「先週も、弁当は食べれなかったのに……。昨日のこと、気にしすぎだし。指輪返すことないだろ?」

 玲奈は表情を変えずに、ただじっと昴を見ていた。

 いつもなら、あの言葉の後に出てくる言葉が分かっているから"いつものこと"、"今までにもあったこと"で済むため、昴は不機嫌な態度のままの玲奈に違和感を持ち始めた。

「なぁ。本気で、浮気してもいいわけ?」

「!!!!」

 今まで喧嘩しても"浮気"という単語は出てくることはなかったため、玲奈は目を見開きびっくりしている。それ以上に周りがざわめき出し、ちょうど、ランチに誘いに来た新垣夫妻もギョッとしている。

 昴はここまで言えば、昨日の出来事に終止符を打てるような気持ちでいたのだ。

 でも、玲奈から出た言葉は以外な言葉だった。

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