マリッジブルーの恋人たち
 そんな思いを引きずりながら迎えた週末、俺は電車の中で変わり行く景色を眺めていた。

 自分の前の席には、今回の同行者である七瀬と後輩の仲山沙保里(なかやまさおり)が座り、今日の打ち合わせをしていた。

 当所は七瀬と二人きりの予定だったが、上司の配慮で仲山も一緒に来ることになり、正直、ほっとしている。

 あの時、1杯だけ飲みに付き合ったことを次の日には後悔した。

 玲奈にまでわざわざ報告に行き、そのあと、みんなに、飲みに言ったと触れ回り、みんなに羨ましがられると"私の誘いだから付き合ってくれたんですっ。"なんて言ってるのを聞いてしまい、七瀬だけの誘いにのったと分かると大変だと考えを巡らせた結果、ー誘われたら行くーことにしたのだ。
 
 七瀬は俺に好意を持っていることを隠さないため、オフェンス内、会社内が七瀬の気持ちを知っており、俺達をくっつけようとするのは同期3人以外にも結構いたため、七瀬の誘いにのって、玲奈に焼きもち妬かせようとしたことを反省した。

 今日の出張だって仲山を同行させるのに、七瀬が不機嫌な態度を露にしたのには気がついていたが、二人きりでなんて行けば、何もなくても疑われる。

 だから、玲奈を慕って、黙って出張についてきてくれた仲山には感謝だ。
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