マリッジブルーの恋人たち
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「綺麗なのたくさんあるね!!」

 そうはしゃぐ横で、彼は不機嫌な顔をした。

 彼は、和装だけの神前式と披露宴を希望していたが、お互いの両親の"たった1度のことなんだから!"と押しきられ、神前式の後の披露宴は今流行りのゲストハウスで行いことになったのだ。

 ドレスを着たかった私としては嬉しかったが、試着には絶対着いていくと話すため、初めての試着の今日、一緒に来たのだが、ずっとこんな感じだ。

「新婦さんはこちらにどうぞ!新郎さんは、先にタキシードの採寸しますね!」

 担当者に言われ、別々に通された場所には1枚のウェディングドレスが飾られていた。

「きれー!素敵!!」

 興奮した私に、担当者は試着を促してきた。

 こんな、自分好みのドレスを目にしたため、2つ返事で切ることを決めたこのドレスは、サロンより予め渡されていたアンケートを元に準備されたものだった。

 そのアンケートは、ドレスの形はどんなものがいいのか、色は、ベールはと言った内容に、ただ丸をする簡単なものだった。

 それなのに、こんな自分好みの物を見つけてくれるなんて考えていなかった。

 心を踊らせながら手を通した。
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