マリッジブルーの恋人たち
「まさか、うそ。」

「あいつちょっといじるだけで、綺麗になるんだよ。スタイルだっていいから、露出しないよう言い聞かせてるし、髪だって、ネイルだって、化粧だって、俺の前だけで十分だって話してる。しかも眼鏡は伊達メガネ。俺以外の男の前で色気振り撒かないよう躾てあるんだよ。」

 比菜子は呆然としてしまった。

 目の前にいる仕事の出来るイケメンの口からは、独占欲の塊発言が飛び出したからだ。

「七瀬さ、自分が満足させられるって言ってたけど、どっからそんな自信がくるんだよ?」

「えっどこって……胸もあるしっ、テクニックだって!!私の方が……。」

 昴は、フンと鼻で笑った。

「テクニックって、それ言ったら逆に引くだろ?遊び回ってますって言ってんだから。ハハハッ。それに、お前の胸は寄せ集めた偽物の胸だろ?あいつは天然のEカップ。」

 比菜子は顔をピクピクさせて、恥ずかしいからか怒っているのか、言葉を発する事が出来ない。

 そんな話をしていると、後輩が部屋の鍵とケータイを持って部屋に入ってきて、小さな悲鳴を上げた。昴と比菜子を見て驚いている。

 怪しげな二人を見て一瞬想像したくないことを、想像したようで、慌てて昴の部屋の鍵を置いて部屋を飛び出した。


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