マリッジブルーの恋人たち
　その日のお昼休み、静華に誘われ会社の食堂でランチをしていると、周りの視線が痛いほど突き刺さる。いつもは噂が聞こえても気にしないし、注目されていても気にならないのだが、今日の視線はいつもと何かが違う。

　遠巻きに七瀬比菜子がこちらを見てるのが分かる。

　ただじっと彼女を見ていると、彼女は視線を逸らし食堂を出ていき、いつもの挑戦的な発言や視線は感じられなかった。

　そう思っていると、"あの……先輩……。"と頭上から声が聞こえた。

　昴と一緒に出張に行っていた後輩だ。

「お疲れ様。出張も急で大変だったでしょ？」

　社会人として当たり障りない言葉だが、そう投げ掛けたのだが、彼女の顔はいつもの笑顔はなく、何だか雲っていた。

「どうしたの？」

　玲奈が彼女に問いかけると、彼女は手を振るわせながら訴えてきた。

「先輩たち、本当にっ最低です……。」

「えっ？」

「何で結婚前にお互いに浮気してるんですかっ！？先輩が七瀬先輩と、裸で抱き合ってるの見て、本当にあり得ないって思って……。でも、先輩も朝、男の人に送って貰ったりしてっ！！」

　そこまで話すと、俯いて涙を流し始めた。

　思ったより後輩の声が大きかったため、周りがざわめきだすが、彼女は自分の口からとんでもない発言が飛び出したことには気がついてないようだ。
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