マリッジブルーの恋人たち
 思い口を先に開いたのは、昴だった。

「玲二から聞いた。週末体調悪かったんだって?大丈夫か?」

「うん、大丈夫。」

 どんな風に会話をしていたか思い出せず、ただ答えることしか出来ない。そして会話にもならない。

「……玲二に理由聞いても、玲奈に聞けって言うばかりでさ。どっか悪いとか?」

 いつもなら、ずけずけと聞いてくるのに、探るような聞き方をする昴に遠慮があることが分かる。

 手が震えてるのが自分でも分かるため、震えないように力強く拳を作って、震えを止めようとするが、中々治まらない。

 どんな反応だろうか。迷惑じゃないだろうか。

 言わなきゃいけない、でも言いたくない。
 
 そんな考えばかりが、駆け巡る。

「……これ……。」

 言葉で伝えることは出来ずに、病院で貰ったまだ人の形にもなっていないエコー写真を昴に渡した。

 受け取った昴は、それが何だかすぐに分かったようで、こちらを勢いよく振り向き、目を見開き凝視している。

「俺も父親か!!」

 その声が凄く喜んでいるように聞こえ笑顔が見られるがが、食堂での後輩からの言葉を思いだし、昴から思いっきり視線を外し"産んでいいのかなぁ……"と呟いてしまった。
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