マリッジブルーの恋人たち
 嫌なわけない、けして違うのに……。でも、誰かを触ったかも知れない抱き締めたかもしれない、そう考えると、ギュッと心臓が締め付けらるように痛いのだ。

「彼女は……どうするの……?」

 やって出た言葉に、昴がはぁっ!?と驚いている様子がわかる。

「彼女って、玲奈が彼女だろ!?俺、後悔なんてしてない!!今でも玲奈が最初で最後の女で良かったと思ってる!!浮気なんてしてないし、そんな気も更々ない!ただ俺は浮気しないでって引き留めて欲しかっただけだし、一人を一途に愛せない同僚をバカらしく思っただけで……。玲奈と二人きりの時間に話すことに嘘はないよ……。だから……指輪返したり、赤ちゃんを産んでいいのかって聞いたりしないでくれ。」

 いつも、こんな風に思いを伝えてくれることはないし、淡々とせず興奮する昴はレア物で、びっくりしすぎて涙も止まった。そしたら、何だか可笑しくなってきて、フフフッと笑いが溢れてきた。

「昴がこんなに余裕ないの初めてみた!!」

 笑いながら話すと、昴も少し表情が和らいだ。

「俺、玲奈なら言わなくても分かってくれると思ってたし、従順だから、こんなに長く喧嘩するとは思ってなかった。」
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