マリッジブルーの恋人たち

ー相手を思いやることー 昴side

 電話を何度かけても繋がらず、しまいには機械音すら鳴らなくなって、昨日も会社の前で待ち伏せしていたが、玲奈は出勤して来なかった。

 静華に声をかけるが、睨まれただけで話し掛けることすら出来ず、昨日は仕事に集中出来ず、新人のようなミスをしてしまい、自己嫌悪してしまう。

 七瀬と仲山は、今日は、代休であり顔を会わせていないが、自分はすっかり仲山の誤解を解いてなかったことには、気がついていなかった。

 翌日の火曜日。

 玲二の車で出勤してきた玲奈は、どこか顔色が悪いが、いくら双子の兄弟でも二人が一緒にいるのは、すごく嫌だった。

 その気持ちのまま、玲奈に詰め寄るように声をかけてしまうと、玲二が車から降りてきて、掴みかかられたのだ。

「第一声がそれかよ!!もっと話すべきことがあるだろうが!!」

「玲二には関係ないだろ!」

 いつも玲奈の一番の理解者の玲二には敵わないし、頭もあがらない。

 だが、今は玲二に色々言われたくない。

 そんな思いから、否定的な言葉を口にしてしまった。

「ふざけんな!!玲奈は、電話に出ないんじゃなくて、出れなかったんだよ!」

 その言葉に驚き玲奈を見ると、"ちゃんと話したいんだ。だから、ちゃんと昴も話して。ちゃんと受け止めるから。"と、呟かれた。
 
 俺はすぐに玲奈の何かを決意した瞳に気がついた。

 何の話かちゃんと聞こう。そして、受け止めよう。

 自分には、玲奈しかいないとちゃんと言葉にして話さなければいけない。
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