マリッジブルーの恋人たち
　玲奈が去ったあと、少し頭を冷やすことも出来、未だに近くにいる玲二に"ごめん。"と謝ると、幾分、表情は和らいでいた。

「体調悪くて寝てたんだよ。携帯も充電忘れてたみたいで。」

「えっ？」　

「まぁ後で玲奈に聞いてくれ。あんまり長居すると変な噂になりやすいから、帰るわ。」

　本当にいつも玲二といると、玲奈に対しての誹謗中傷
が多いことをその時考える余裕もなかった。

　この様子を見ていた同僚たちに、玲二と玲奈が双子だと話さなかったことを後悔することになるとは思ってなかった。

　その日のお昼休み、会社の食堂でランチをしている玲奈がどんな思いをしたかも知らず、仲山にあの日の話をしていないことにも未だに気づかずにいた。

　昨日休んでいた仲山と七瀬は、お互いに何かを言いたそうで言わないような、微妙な空気が流れていたが、知らない不利をして二人でするよう仕事をお願いした。

　いつもは仕事を貰いキラキラした表情を向ける仲山からは、元気は見られず、言葉も発することなく会釈だけ。

　うるさいほどキャピキャピしながら仕事をする七瀬は、今日は意欲すら感じないほど意気消沈した様子だったが、見てみないふりをし続けた。
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