マリッジブルーの恋人たち

「うん、私昴のことよく分かってるつもりだよ。従順なのは昴が好きだから……でも、少し反発したくなっちゃった……。」
　
　自分の勝手な独占欲で、自分以外の人間を見て欲しくなくて、こうして欲しい・こうであって欲しいと相手に求めてしまうと、やがて反発する気持ちも芽生えるだろう。

　玲奈の気持ちは痛いほど、今なら分かる。

　もう戻れないのだろうかと、心配そうに玲奈を見下ろしている、勢いよく立ち上がり、思いっきり抱きつかれた。

　びっくりしてよろめくが、もう絶対離したくなくて、ギュッと抱き締めると、思いもよらないことを聞かれた。

「裸で抱き合ってたのは、本当なの？……七瀬比菜子と。後輩が話してたから。」

　それを聞かされた瞬間、後で誤解を解けばいいと思っていたことを思いだし、事実を話した。

　何度も何度も"浮気してない""裏切ってないから"と説明し、仲山に誤解を解く電話を入れると、逆に食堂でのことを謝罪された。

　七瀬のことは気になりながらも、玲奈との時間が減ることの方が嫌だと思い、放置することにした。

　玲奈がこの腕の中にいることの方が大事だから。