マリッジブルーの恋人たち
『そうですよ！私の方が綺麗だし！スタイルだっていいですし、ベットの中でも満足させられますよ～！』

　彼の隣にいる同期の女性が、そう言いながら彼の腕に自分の胸を押し付ける感じで腕を組んでいるのが分かる。

　そして、不快な気分の私以上に、横にいる静華が怒りを露にしていたが、いつも影で言われてるのを知っていたため、気に止めず中に入ろうとしたとき自分の耳を疑った。

「スタイルね…。そう考えると、あいつ以外の女を知らないなんて、俺、損してない？」

　彼は隣の女性の腕を振り払うことなく、そう言ったのだ。周りの同期たちは、そのセリフに、"だろ～？""生涯あいつ以外の女、抱かないつもりかよ。"とからかっている。

　それを聞いた瞬間、私の中でなにかが弾けた。

　お酒がすすみ、その席でセクハラめいたことを言われるのは度々あり、ネタのようにからかわれるのも慣れている。

　でも、さすがに彼の答えを今まで聞いたことがなかったため、"損してない？"その言葉がやけにリフレインしてしまった。

「お疲れ様です！」

　このタイミングで中に入ると思ってなかった静華はビックリしており、同僚と後輩たちは不味いって顔をしているが、彼の隣にいる女性は、腕を離さず握り締めていた。
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