マリッジブルーの恋人たち

ｰ幸せのカウントダウンｰ

　二人の誤解を解き、気持ちを再確認した翌日、玲奈の左手の薬指には婚約指輪が光っていた。

　出社するとすぐに後輩の仲山さんが、玲奈に駆け寄ってきて必死に謝罪してくるため、二人で"気にしないように"と、話を行った。

　二人でエントランスを通りかかると、"麻生さぁ～ん"とどこからか走ってきた七瀬比菜子が玲奈を軽く押し退け昴の腕に絡み付いてきた。

「みんなから私と麻生さんの恋は～、応援されてるみたいで、みんなにお似合いだねって言われてるんですぅ。」

　そんな甘ったるい声を出す彼女の手を振り払い、"玲奈、大丈夫か？"と昴が玲奈の肩を抱き寄せれば、エントランスにいるすべての人間がざわめいた。

『麻生さんと別れたって言ったのは誰よ？』
『麻生さんは七瀬さんと付き合い初めて、彼女は例のイケメンと付き合ってるって。』
『どうなってるの？』

　周りは決して真実じゃない噂話を行っている。

　七瀬比菜子の場合も、１度は落ち込んだもののあまりにもみんなに持ち上げられ、熱が再発したように感じる。

「おい、七瀬。俺、次、何かあったら容赦しないっていったよな？」

「えっ……！？」