マリッジブルーの恋人たち
「お前ら人の嫁に言い寄るなよ!玲奈じゃ満足出来ないとか散々話してたじゃないか。残念だが、玲奈は俺のものだし。」

 表面上ニコリと笑いながらも、玲奈を引き寄せた手の力はかなり強いものだった。

 その後、静華と高校時代の友人が作成したサプライズDVDのおかげで、昴の機嫌の悪さは最高潮に達した。

 玲奈の高校の時のミスコンの写真や、誰が撮ったか分からないまだ、地味じゃない頃の玲奈とデートしている昴のデレデレしている写真。

 それらの写真を面白おかしく加工してあり、
『初デート記念!!』
『クリスマスは海が見えるホテルで初のお泊まり』
『カップルボーリング優勝』
等、静華しか知り得ない情報満載のDVDを会場の皆は、ゲラゲラ笑いながら見たり、"素敵~""いいなぁ~"なんて言葉を発しながら見いっていた。

 披露宴が終わる頃には昴はげっそりしており、玲奈はそんな昴を見て苦笑いをしていた。

 控え室に戻ると昴にすぐに抱き寄せられ、濃厚な口づけをされた。玲奈が驚いていると、ばつが悪そうな昴とすぐに目があった。

「ずっと玲奈を独り占めしたかったのに……。」

「私には昴だけだよ。何いってんだか。」

「俺だけの玲奈で、みんな好き勝手言ってたのにさ。実は綺麗でスタイルいいってバレた瞬間、あいつら手のひら返しやがって。」

 昴の言うあいつらって同期の男たちかと、思いながら昴の背中に手を回し、ポンポンとこどもをあやすように慰める。

「昴……。愛してるよ。これからも、よろしくね。」

 二人は暫くの間、抱き締めあい夫婦になったこの時間を噛み締めた。
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