マリッジブルーの恋人たち
 店を出た瞬間、頬が涙で濡れているのに気がついた。

 慌てて擦り、近くにあるお気に入りの公園に入った。

 今彼に婚約指輪を預けたばかりというのに、たどり着いたのはよく彼と来た公園だ。

『玲奈はこのままで可愛いよ。地味じゃないし、気にすんなよ。』

『俺、玲奈が初めての相手だから。緊張する。まだ、する前から、もう玲奈だけでいいんだって思ってるんだ。』

『最初の相手が、最後の相手って嬉しいよな。』

 喧嘩して仲直りした後、私が落ち込んだ後、、優しく抱き締められた後……彼はいつもそんなこと言ってくれた。

 でも、"損してない?"の言葉をきいたとき、今までのセリフが一瞬、全てが嘘のように思ってしまった。

 ほんの一瞬だが。

 そう思っていると、急に気分が悪くなり、込み上げてくる吐き気に口を押さえた。

 吐くことはないが胸がムカムカし苦しんでいると、後をおってきた静華が駆け寄ってきた。

「玲奈!!大丈夫!?」

 すぐに横に座り、支えてくれる。私は口を押さえながら、コクコクと頷くのがやっとで、自分でも血の気が引いていくのが分かる。

「気分悪いんでしょ?顔色悪い……し側にいるから、楽にして!」
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